（昭和十六年��濱市報・��濱史料）

「横濱町名沿革誌」は昭和十四年三月、��濱史料調査會によつて上梓されたのであるが、その後、隣接町村の合併が行はれ、新に百三ケ町が新設されるに至った是等町名は何れも傳統するところの沿革を持つものであつて、一町名もその土地の「小さな歴史」が集約されて出來上つた觀があるのである。こゝに、この新しき諸町の沿革を尋ねて「續、横濱沿革誌」を掲載し、先の沿革誌と首尾一貫せしめんと欲するものである。（總務部文書課） 　　註、世帶數、人口數は合併當時現在なり

戸 �� 區

■戸�恍ｬ　トツカチヤウ　　　世帶數　一、五五四　　　人口　七、三〇八 　　元、鎌倉郡の内にて往古は小阪郡に屬せり、當所及び隣村吉田、矢部兩町を加げ戸�恷Oケ町と唱へ東海道五十三驛の一なり。古へは富�怩ﾌ字も併用され、寛文、延寶の頃尚混用されたり、而して當時の文書には�ｸ、村、町と之れも又まちまちに書き慶長九年の記録には既に驛とも稱せるより見れば海道筋は古くより町並をなし居たる事知らる、専ら宿と書記する様に成りしは元祿以後の事なり、戸�怩ﾌ宿驛に定められたるは�ｺ川氏江戸入國後文祿元年其内命を以て駄賃馬を取立交通の便に供し居りしが、慶長六年置驛の際其撰に漏れたるも在來の儘間の宿として其從業を續け居たり、然るに慶長八年圖らずも藤澤宿より傳馬を勤めずして駄賃馬を取扱ふは不當なりとて郡代彦坂小刑部元成に訴へ出でしより、同年十一月二日俄かに駄賃馬禁止の運命に直面せり、依て九年二月二十九日訴状を捧げて驛馬の事を申請せるに、同年十一月二日を以て新驛を設置され始めて東海道五十三驛の一とはなれり。 ■吉田町　ヨシダチヤウ　　　世帶數　一六八　　　人口　八三二 　　当所は�ｺ川氏の初め、矢部町と共に戸塚宿に加えられ戸塚三町と唱えたり、相模風土記には「抑吉田の地名は旧く聞えて古昔は庄名にも唱えしにや、東鑑建久三年十二月の條に相模国吉田庄と見え、渋谷党の知行にして京都圓満院宮の家領たりしを更に勤労の賞として彼党の地頭に申なされし事見えたり、夫より後は之を�ｸ名にも唱えしなり、即圓覚寺蔵徳治元年九月、北条貞時入道が当所の内伊予局が欠地を、彼寺に寄付せし時の下知状又鶴岡八幡宮蔵正平六年十二月足利尊氏当所を彼宮領に寄せし時の下文等に見ゆ、長祿の頃は当所布施の地、建長寺祖塔西来庵の領たり、其所蔵同二年八月の制札に吉田�ｸ内布施村とある是なり、北条役帳にも又�ｸと記し、即富島某知行せり、正保、元禄両度の改め及び貞享二年のものには共に村と書せり、中古己来戸塚宿に加わり御伝馬次を勤むるに因り二千坪の地子を免され問屋給米を頒ち賜う、萬治二年便宜のため彼宿内往還の地を裂き賜はりて村民多く彼所に移住す、故に今の村落は矢部町を挟みて自から区別せるが如し、されば本村の地を呼て元吉田町と云い、或は吉田町の内元町とも字名せり」と見えたり、�ｺ川氏江戸入國後は御料所にて代官の支配地たり、明治維新後の変革は戸塚町に同じくして戸塚町の大字吉田町となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入に当り戸塚町より分離して一町を立て戸塚区に屬し旧字名を採りて町名とす、町名の由来を伝えず。 ■矢部町　ヤベチヤウ　　　世帶數　一六〇　　　人口　七六三 　　当町も昔戸塚三箇町の一なり。小田原北条家所領役帳及び正保の改めには下矢部と記せり、是北隣の上矢部村に対する唱なりしなるべし、元禄の改めには矢部村と書す。北条氏領国の頃は大草左近大夫知行し�ｺ川氏に至り御料所には代官の支配に屬せり、明治維新後の変革は戸塚町に同じくして戸塚町の大字矢部町となる。昭和十四年四月一日横浜市に編入の際戸塚町より分離して一町を立て旧字名を以て町名とし戸塚区に屬す、町名の起りは鎌倉時代此辺に矢作部のもの居住し矢を作りてひさぎしより遂に地名となると云う（上矢部町の条参照）綏靖記に「矢部は作箭と見え矢作部に同じく矢を製する部民なり」と見ゆ。 ■上柏尾町　カミカシヲチヤウ　　　世帶數　三五　　　人口　一九〇 　　元は、上柏尾村と称して鎌倉郡の内なり、古へ小阪郡山之内荘永谷�ｸに屬し後高座部に編貫して柏尾村と称せしが貞享四年鎌倉郡に屬せり、今の柏尾町とは一村なりしが元禄の頃上下の二村に分てりと云ふ、�ｺ川氏に至り御料所となりしが貞享四年二月旗下本多源兵衛の采地となり子孫世々知行せり、明治維新後�~奈川縣の管轄に屬す、明治二十二年町村制施行の際隣村下柏尾村、前山田村、後山田村、品濃村、平戸村、舞岡村及び永谷村の飛地と共に併せて川上村を立て其大字上柏尾となる。昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名とす。村名の起りにつき相模風土記は次の如く云へり、「承久の乱宇治川合戦に相模国の住人樫尾三郎景方十六歳にて官軍と挑み戦ひし事あり、承久記曰、かゝる所に京方宗徒の者と覚しきか、噫きて出て来る、相模国住人樫尾三郎景方馳寄りむんずと組む、景方今年十六歳に、敵は大の男なりければ、敢て押首を取らんとす、武蔵太郎是を見て、樫尾討すなと馳寄り小笠懸射様に落下て、敵の鎧のはづれ草摺の餘、すきまを支て射給ふ、射られてよはる所を下人寄合手反を掴て引返し主従して討取る。按ずるに、承久軍語景高に作る、蓋当所の人なるべし、然れば村名古は樫尾と記せしにや」とあり又土人の伝へも一致せり左れど今の柏尾に書き改めしはいつの頃か伝へずと云へり。 ■柏尾町　カシヲチヤウ　　　世帯数　九三　　　人口　五六一 　　元は下柏尾村と称して鎌倉郡の内なり、古き變遷は上柏尾町の條に同じ、�ｺ川氏江戸入國後天正十八年小田原落城の後植村庄蔵正元に賜ひしが、天和三年絶家となるに及び御料となりしを、寶永七年二月村高三百四十四石二斗五升七合を分ち村上大和守、村上市正の采邑に賜ひしが、文化八年三月松平肥後守の領地に變り更に文政四年七月上知して百十七石一斗一升一合を旗下蜷川相模守に與へ其餘を御料とせり、同年十二月御料の分を水野美濃守の釆邑に與へしが天保三年八月に至り水野氏分を太田下総守に賜はり、以来蜷川、太田の二給となり子孫世々之を襲へり、明治維新後は�~奈川縣の管轄に屬せり明治二十二年の町村分合改称は上柏尾町と同じく川上村の大字下柏尾となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名とせり、下の字を除きしは当町地域は昔の柏尾の本村なりしに依れり、町名の由来は上柏尾町に同じ。 ■前田町　マヘダチヤウ　　　世帯数　二九　　　人口　一六ニ 　　元の前山田村及び後山田村の地にて鎌倉郡の内なり、古へは単に山田村と称せしを天正元年前後の二村に分つと云ふ鎌倉時代には小阪郡山ノ内荘に屬し永谷�ｸの内山田村と称せしが後鎌倉郡に編貫せり、天正の頃は小田原北條家の家人肥田山城守の所領となり、�ｺ川氏に至り慶長年間新見彦左衛門の知行となり子孫世々之を襲げり、明治維新後の変革は上柏尾町に同じ、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬す、編入の際前山田の区域全部と後山田の内字原田及び田中の一部を当町区域とし旧村名をとりて前田町と改称す、村名の起りを伝へず。 ■川上町　カハカミチヤウ　　　世帯数　三八　　　人口　ニ四四 　　当町区域は元、後山田村と称したる所にて鎌倉郡の内なり古き沿革は前田町に同じ、�ｺ川氏江戸入國後寛永元年新見彌三郎の知行所となり子孫世々之を襲へり、明治維新後の変遷は上柏尾町に同じく川上村の大字となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬す町名を付するに当り元の大字後山田の内原田及び田中の一部を前田町の区域に分ち、其他の区域に当町を立て編入前の村名を採りて町名に附せり、前の村名川上は即ち明治二十二年町村分合改称を行ふに当り柏尾川の川上に当る地なるより斯く村名せしと云ふ。 ■品濃町　シナノチヤウ　　　世帯数　九五　　　人口　六二二 　　元は品濃村と称して線倉郡の内なり、古き沿革は上柏尾町の條に同じく永谷�ｸに屬せり古き文書には秋庭�ｸ信濃村とも書けりと云ふ、建武元年の円覚寺文書に依れば足利直義此地を建長寺中正續院領に寄進すとあり、小田原北條氏の頃は其家人肥田山城守の領地となり、�ｺ川氏に至り御料所となりしが、文祿の頃新見彦左衛門の知行となり子孫世々之を襲へり、明治維新後の変革も又上柏尾町と同じく川上村の大字品濃となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名とせり、村名の起りを伝へず。 ■舞岡町　マヒヲカチヤウ　　　世帯数　一一五　　　人口　七四八 　　元、舞岡村と称し鎌倉郡に屬せり、往古の沿革は上柏尾町の條に同じくして村名を腰林と唱へしを平治年間舞岡村と改めしと云ふ、中古は前岡とも記せり、�ｺ川氏の正保の頃には今の字に改まる、大永年間より天正に至る間は鎌倉松岡東慶寺の料地となり、�ｺ川氏江戸入國後村高五百二十五石五斗は御料所にて代官の支配地なりしが、文化八年三月松平肥後守の領地に転じ更に文政四年三月旗下蜷川相模守親文の采邑に変り子孫世々知行す、明治維新後の変遷又上柏尾町と同じくして川上村の大字舞岡となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名に付せり、村名の由来を伝へず。 ■平戸町　ヒラトチヤウ　　　世帯数　一二六　　　人口　七六一 　　元は平戸村と称し鎌倉郡の内なり、往古東郡山之内荘に屬し永谷�ｸの内永谷村なりしを後小阪郡となり、天正年間分村して一村を立て比良登村と称するに至り、明暦三年今の字に改めしと云ふ、�ｺ川氏江戸入國後村高二百八十石四斗三升六合二勺は御料所となりしが、寛文六年九月旗下杉浦内蔵允の知行に移り子孫世々之を襲へり、明治維新後の変遷は上柏尾町と同じく川上村の大字平戸となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬す、編入の際前の大字平戸及び永谷（元、永谷村の飛地）の区域に当町を立て旧村名平戸を町名とす、村名の起りを伝へず。 ■長沼町　ナガヌマチヤウ　　　世帯数　四八　　　人口　二八○ 　　元は長沼村と称して鎌倉郡の内なり、奈良朝の頃には太加久良郡矢部�ｸに屬し、室町時代には小阪郡小阪�ｸの内となり、�ｺ川氏の正保年間東郡に屬し、延寶年間鎌倉郡に編貫すと云ふ、小田原北條氏割拠の頃安田大蔵亟知行す、�ｺ川氏江戸入國後村高三百三十三石四斗八升四合は御料所となりしが、寶暦年中大久保山城守の領地となり、寛政年間松平肥後守領にかはり、文政四年水野美濃守領に転じ、天保三年一旦御料に復し、村内を裂き其一部を太田播磨守の釆邑に賜はる、明治維新後神奈川県の管轄となる、明治二十二年町村分合改称を行ひし時隣村飯嶋村、下倉田村、上倉田村と共に併せて豊田村を立て其大字長沼となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名に付す、村名の由来を伝へず。 ■飯島町　イヒジマチヤウ　　　世帯数　一〇一　　　人口　六〇一 　　元、飯鳥村と唱へ鎌倉郡の内なり、室町以前の沿革は長沼町に同じ、中世長尾�ｸに屬せり、建武の頃には上之村證菩提寺新阿弥陀堂の供僧料の地なりしと云ふ、小田原北條氏の頃は井出兵部亟、高城下野守の両名知行す、�ｺ川氏に至り村高六百四十九石二斗二升二合は御料地となりしが、元祿四年旗下黒田兵庫守、戸田兵助、冨士吉十郎に裂き與へしも文化八年六月に至り村内全部を松平肥後守領となし文政四年五月松平大和守之れに代り、嘉永七年四月細川越仲守領に転じ、文久三年八月堀田相模守領よなり、慶應三年六月御料に復せり、明治維新後の変遷は長沼町の條に同じく豊田村の大字飯島となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名をとりて町名とす、村名の起りを伝へず。 ■下倉田町　シモクラタチヤウ　　　世帯数　六七　　　人口　四〇五 　　元、下倉田村と称して鎌倉郡の内なり、往古の沿革は長沼町の條に同じ、�ｺ川氏に至り村高五百八石三斗六升一合は御料所に定められしが．享保十九年旗下上原荒次郎に裂き與へ、延享元年松平大和守領となり、文化八年村内全部を松平把後守領に転じ、文政四年御料及び松平大和守領に代り、嘉永七年四月細川越中守領、文久三年八月堀田相模守領、慶應三年六月御料と屡々変転したり、明治維新後一時韮山県の管下に入りしが、同年十二月神奈川県管轄に編貫されたり、明治二十二年の町村分合改称は長沼町と同じく豊田村の大字下倉田となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名に付せり、村名の起りを伝へず。 ■上倉田町　カミクラタチヤウ　　　世帯数　一六〇　　　人口　九一○ 　　元、上倉田村と称し鎌倉郡の内なり、室町時代以前の沿革は長沼町の條に同じ、古くは上之村證菩提寺阿弥陀堂料たりし事あり、又文和の頃には島津周防守当所を領すと云ふ小田原北條氏割拠の頃には其家人富島某、肥田某の両人知行し、�ｺ川氏に至り村高五百六十一石六升三合は御料所なりしが、寶永七年三月村上因幡守、村上市正の両人に頒ち文化八年松平肥後守領に転じ文政四年七月旗下蜷川相模守の知行所となる、明治維新後の変革も又長沼町と同じく豊田村の大字となる、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名とす、村名の由来を伝へず。 ■金井町　カナヰチヤウ　　　世帯数　四三　　　人口　二八一 　　元は金井村と称し鎌倉郡の内にて、古へは小阪郡山之内荘に屬して長尾�ｸの内なりしが後鎌倉郡に編貫せり、正元の頃は鎌倉鶴岡八幡宮の社領地なり、永正の頃は円覚寺塔頭龍隠庵支配地となれり、小田原北條氏の頃は豹徳軒知行す�ｺ川氏に至り村高二百七十五石餘は寛文十一年十月旗下佐橋治郎左衞門の采邑に賜ひ子孫世々襲へり、明治維新後は神奈川県の管轄に屬せり、明治二十二年町村制施行の際、隣村田谷村、小雀村、長尾臺村と共に長尾村を立て其大字金井となり以来長尾村は隣村富士見村、俣野村と三ケ村組合を組織し其中央なる原宿に村連合役場を置き統治する事二十七年、然るに各村共に地勢風土素質異りて利害相反し常に円満を欠き集睦せず終に大正四年に至り長尾村の内田谷、金井長尾臺は隣村にして素質を等しくせる豊田村に合し其大字となれり、而して残る部落を以て大正村を組織せり、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名に付せり、村名の起りを伝へず。 ■田谷町　タヤチヤウ　　　世帯数　六七　　　人口　四一五 　　元は田谷村と称し鎌倉郡の内なり、往古小阪郡山之内庄村岡�ｸとも又長尾�ｸにも屬せしと云ふ、正嘉の頃鶴岡八幡宮の社領となり、正安の頃には加世孫太郎長親知行す、�ｺ川氏に至り天正十九年旗下朝比奈又三の采邑となり、享保十一年九月御料とせしが同十三年九月村内を分けて大田谷、小田谷と唱へ大田谷分二百七十五石を旗下大久保佐渡守に小田谷分百二石四斗三升一合を同旗下酒井作治郎の知行に頒ち與えたるが、文化八年御料に復せり、更に又文政六年十一月旗下能勢靱負佐の知行となり、大久保、能勢両氏の子孫之れを襲へり、其外僅かの新田は御料にて代官の支配に屬す、明治維新後及び大正四年の変革は金井町に同じく長尾村及び豊田村の大字に変れり、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名に付せり、村名の起りを伝へず。 ■長尾臺町　ナガヲダイチヤウ　　　世帯数　四〇　　　人口　二一六 　　元は長尾臺村と称し鎌倉郡の内なり、往古は長尾�ｸにて其原村なりしと云ふ、永正の頃には鎌倉円覚寺の塔頭龍隠庵の供料地となり、小田原北條氏の頃は其家人豹徳軒知行す�ｺ川氏に至り天正年間村高八十三石五斗を富士彌市郎の先祖某の采邑に賜はり子孫世々之れを知行せり、明治維新後及び大正四年の変革は金井町田谷町に同じ、昭和十四年四月一日横浜市に編入戸塚区に屬し旧村名を採りて町名とす村名の起りは古へ長尾氏当所字臺の上に居住せしより村名となりしと云ひ今も其居蹟なりしと伝ふる所あり。 ■影取町　カゲトリチヤウ　　　世帯数　二八　　　人口　一五一 　　元の山谷新田及び城廻村の飛地の地にて鎌倉郡の内なり、往古は村岡�ｸ玉縄領と唱へ城廻村の閑地なりしを、元和年中より寛永の頃に藤澤宿の人金井宗齊及び玉縄領の村民等により漸々開墾し城廻村に屬せしに後年分村として山谷新田と呼べり、開發以来松平右衛門太夫正綱、其予備前守正信領せしに明暦二年御料所となり後松平弾正忠正久知行し元祿十一年再び御料に復せり明治維新後�~奈川縣の管轄に屬す、明治二十二年町村制施行の際隣村東俣野村、上俣野村及城廻村飛地と共に併せて俣野村を立て其大字山谷新田となる、町村分合以來隣村富士見村、俣野村、長尾村三村組合を組織し、三村聯合の村役揚を置き統治せしが、各村其地勢風土素質習慣等異なり利害相反して常に圓滿を缺くより、大正四年長尾村の田谷金井、長尾臺の三部落を豊田村に合せしめ之を機として三村を合併して大正村を立て其大字山谷新田となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し影取町と名付く、町名の由來に就き次の傳説より採る。 　　地内海道筋に近く一池あり池中に大蛇棲み日正に西に傾く頃海道を通行する旅人の身影池水に影ずるあれば彼の大蛇忽ち浮び出でて其影を呑む、若し其厄に遭はんか其人必す死に至るちて恐れたり、故に之の池を呼ぶに影取池と唱へり、此池を去る二三町元の東俣野分に鐡砲宿の小名あり、彼の大蛇人をなやますより、此所の村民等窺かに大蛇の将に今や人影を呑まんとする時鐡砲を以て打ち止め之を退治し諸人の危難を救ひたるより小名となれりと、町名を付するに當り之の有名なる傳説に因みて斯く名付けたり。 ■俣野町　マタノチヤウ　　　世帯数　五五　　　人口　三九七 　　元は上俣野村と稱して鎌倉郡の内なり、古へ村岡�ｸに屬す、始めは東俣野の内なりしが寛永年間分村して一村となれり古き沿革は東俣野町に同じ、�ｺ川氏に至り村高二百八十六石を旗下木下白照、中根銀次郎、石川八十郎の三人に頒ち與へ子孫世々知行せり、明治維新後の變革並に大正四年の變遷は影取町に同じ、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し町名を俣野町とす村名の起りを傳へず。 ■小雀町　コスズメチヤウ　　　世帯数　八二　　　人口　五五二 　　元、小雀村と稱して鎌倉郡の内なり、古へは長尾�ｸに屬す永仁の頃より鶴岡八幡の社領にして正和の頃は佐々木千手丸地頭たりし事古書に見ゆ、小田原北條氏の頃は間宮豊前守知行す、�ｺ川氏江戸入國後村高四百五石四斗七升六合は旗下杉浦八郎五郎の采邑となりて子孫世々知行せり、明治維新後の變革は金井町の條に同じく長尾村の大字小雀となる、大正四年富士見村、俣野村、長尾村の三ケ村組合を併せて大正村を組織し其大字となりし事は影取町に同じ、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名の起りを傳へず。 ■深谷町　フカヤチヤウ　　　世帯数　八三　　　人口　五二九 　　元、深谷村と稱し鎌倉郡の内なり、往古は小阪郡山之内庄村岡�ｸに屬す、古き沿革を傳へず、同所専念寺の縁起に依れば鎌倉權五郎景政祈願所として同寺を建立せしと云へば古くより開けし地なるべし、�ｺ川氏の中期には旗下土屋甚助知行す、明治維新後�~奈川縣の管轄に屬し明治二十二年町村分合改稱を行へる際、隣村原宿村及び汲澤村と共に併せて富士見村を立て其大字深谷となり、俣野村、長尾村と共に三ケ村組合となり原宿に村役場を置き統治せしが各村共に地勢風土素質異り利害相反し圓滿を缺けるより、大正四年長尾村の内大字田谷、金井、長尾臺の三部落を隣村豊田村に合し殘る七部落を以て大正村を立て其大字深谷となれり、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し、舊村名を採りて町名とせり、村名の起りを傳へず。 ■汲澤町　クミザハチヤウ　　　世帯数　八六　　　人口　五五五 　　元、汲澤村と稱して鎌倉郡の内なり、古へ村岡�ｸに屬す、古き沿革を傳へず、�ｺ川氏の中期旗下戸田五助知行す、明治維新後の變革は深谷町の條に同じくして大正村の大字汲澤となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名とせり、村名の起りを傳へず。 ■原宿町　ハラジユクチヤウ　　　世帯数　九八　　　人口　六二二 　　元、原宿村と稱して鎌倉郡の内なり、古へ村岡�ｸに屬す、村岡�ｸは鎌倉七�ｸの一にて平家の祖高望王の五男良文始めて當�ｸに住し村岡五郎と稱呼せしと云へば古くより聞へし唱なり、建久二年十一月源頼朝當所を鶴岡八幡宮の供料に寄附の事鶴岡香象院文書に見ゆ、永祿の頃は�ｸ中を上下に分ち唱へたりと云へり、當時總て玉縄城主北條左衛門太夫綱成の所領たり、左れど當村地域は天正の頃開發せし地なりとも傳へり、�ｺ川氏江戸入國後寛永年中旗下篠崎専齋知行し、慶安年中御料となり、正�ｺ元年旗下村上市正政直、村上因幡守正邦の二人に賜ひ文化八年再び御料に復し、文政二年蜷川相模守の知行に轉ず、明治維新後の變革は深谷町の條に同じく、大正四年の三村合併により大正村の大字原宿となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり村名の起りを傳へず。 ■東俣野町　ヒガシマタノチヤウ　　　世帯数　八二　　　人口　五三四 　　元、東俣野村と稱して鎌倉郡の内なり、村岡�ｸに屬す、往昔、上俣野村と一村なりしをいつの頃にか東西に分ち更に又寛永年中に至りて東俣野を上下に分ち上俣野下俣野の二村となし之の二村を以て俣野�ｸと唱へたり、其後下分は舊名に復して東俣野村と呼ぶに至れり、又いつの頃か西俣野村は郡界の變遷に依りて高座郡に編貫されたり、小田原北條氏分國の頃は家人新藤下總守知行す、�ｺ川氏に至り村高三百石は慶長元年永井監物に賜はり子孫世々之を襲へり、明治維新後の變革は影取町の條に同じくして俣野村の大字東俣野となる、大正四年の分合又同町に同じく大正村の大字となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名とせり、村名の起りを傳へず。 ■中田町　ナカタチヤウ　　　世帯数　二一九　　　人口　一、三八〇 　　元、中田村と唱へ鎌倉郡の内なり、古へ矢部�ｸに屬せり、古き滑草を傳へず、�ｺ川氏に至り、文祿元年石巻五太夫康敬の知行所となる、其頃の石高僅かに百十一石なりしと云ふ、明治元年八月上知の際其後裔石巻榮吉の時に至りては漸次開拓の結果三百五十二石三斗九升となれり、維新後は�~奈川縣の管轄に屬す、明治二十二年町村分合改稱を行へる際、隣村和泉村、上飯田村、下飯田村、高座郡今田村の飛地、同郡上和田村飛地と共に併せて中和田村を立て其大字中田となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名の起りを傳へず。 ■和泉町　イヅミチヤウ　　　世帯数　三八三　　　人口　二、四一一 　　元、和泉村と唱へ鎌倉郡の内なり、古へ矢部�ｸに屬す、古き沿革を傳へず、小田原北條氏割據の頃は笠原藤左衛門知行す、�ｺ川氏に至り村高三百二十石九斗は寛永二年松平勝左衛門昌吉知行し子孫世々之を襲へり、明治維新後の變遷は中田町の條に同じくして中和田村の大字和泉となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名の由來として次の傳説殘れり。 　　地内下和泉大六天社の南にあたり酒池と稱する一池あり、清水湧けり往昔之の村に一人の孝子あり此の池水を酌みて父に侑むるに美酒にかはれり、之れ天�~の孝子をめでゝ感應するに依れり、或日慾深き里人孝子の泉を酌み歸へるに遭ひ何處より酒を求め來れるやと問へば孝子答へて此の叢林の中の泉は甘露の美酒なれば酌みて父に侑むるなりと、里人大に喜び一儲けせんものとて大なる樽をもて酌むに其酒忽ち泥水と變ぜりと後ち之の古事を採りて村名に付せしと傳へり。 ■上飯田町　カミイヒダチヤウ　　　世帯数　二〇九　　　人口　一、四四七 　　元、上飯田村と稱して鎌倉郡の内なり、古へ山之内庄に屬し上飯田、下飯田は一村なりしを、小田原北條氏分國の時村内を二分し平山源太郎に上飯田の地を與へ、川上藤兵衛に下飯田の地を與へしより故に上下二村に分れたり、東鑑治承四年八月の條に飯田五郎家義と云ふもの當時此地を所務したるより地名を其姓とせしならん、又鶴岡我覚院の正安元年の文書に延應元年飯田三郎能信と云ふもの當�ｸの地頭に復せし事見ゆ、能信は即ち五郎家義の子孫なるべし、當時鎌倉二階堂永�ｎ尠�師堂の供料弘安八年二月鎌倉法華堂に當�ｸの内を寄進せし由古書に見えたり、小田原北條氏の頃には其家人平山源太郎知行せり、�ｺ川氏に至り村高四百石は御料となりしが、寶永四年上飯田を上中下に分ち旗下石川織衛、伊豫田��左衛門、木村左門に分給せり、後ち伊豫田分は御料に復せしが後ち之を奥村治左衛門に給はりて維新に及べり、明治元年八月�~奈川縣の管轄に屬す、明治二十二年町村制施行の際の變遷は中田町の條と同じく中和田村の大字上飯田となる、昭和十四年四月一日横濱市に編入戸塚區に屬す、町名を付するに當り上飯田の區域の外元高座郡上和田村の飛地字上和田を併せ當町區域とし舊村名を採りて町名に付せり、村名の起りを傳へず。 ■下飯田町　シモイヒダチヤウ　　　世帯数　七二　　　人口　五一四 　　元、下飯田村と稱して鎌倉郡の内なり、古へは上飯田と一村なりしを、小田原北條氏割據の時上下に分ち下飯田村とし其家人川上藤兵衛當村を知行すと云ふ、�ｺ川氏江戸入國後村高百五十八石は旗下筧助兵衛に給はり子孫世々之を知行せり、明治維新の變革は中田町の條と同じく中和田村の大字下飯田となる、昭和十四年四月一日横濱市に編入戸塚區に屬す、町名を付するに當り下飯田區域の外、元、高座郡今田村の飛地たりし字今田を併せて當町區域とし舊村名を採りて町名とす、村名の由來を傳へず。 ■岡津町　ヲカツチヤウ　　　世帯数　一六一　　　人口　一、〇四〇 　　元、岡津村と稱して鎌倉郡の内なり、享和の頃の郡村名寄帳には矢部�ｸの屬と記すと云ふ、相模風土記に「當所は右大将頼朝の時鶴岡八幡宮の供僧等が給田に宛らる、當時の地頭は大宰少弐為佐なり、文永の頃も傳領して其孫甲斐三郎左衛門為成地頭たり、北條氏割據の頃は太田大膳亮知行す」と載せたり、�ｺ川氏江戸入國後いつの頃か黒田某に當村を與へ子孫世々知行す、明治維新後�~奈川縣の管轄に屬す、明治二十二年町村分合を行へる際、隣村阿久和村、上矢部村、秋葉村、名瀬村と共に併せて中川村を立て其大字岡津となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名の由來を傳へず。 ■上矢部町　カミヤベチヤウ　　　世帯数　一二五　　　人口　一、〇七六 　　元、上矢部村と稱して鎌倉郡の内なり、古へは矢部�ｸと唱へて名瀬、阿久和、中田及び都筑郡二俣川の各村は其�ｸ中に屬し當村は其原村なりしと云ふ、寶治元年六月将軍頼嗣當�ｸを鶴岡八幡宮領に寄進せし事あり、又小田原北條氏分國の頃には左衛門太夫綱成の支配に屬し、�ｺ川氏に至りては村高四百七十五石は天正十八年石川四郎左衛門重政の知行所となりしが文祿元年朝鮮の役起り之の村の地頭も従軍し其戦功に依り加封ありて當所及篠塚、坂本、宮澤を領し各村を統一し上矢部村と改稱すと云ふ、寛永二年に至り其嫡孫分れて當村を知行し爾後同子孫世々之を襲へり、明治維新後の變遷は岡津町の條に、同じく中川村の大字上矢部なる、昭和十四年四月一日横濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名とす、町名の起りは往昔當所に矢作部の人多く住居し矢を作る事を業とし之を官庫に貢ぎたるより矢作部村と稱したるを星霜幾百回矢部村と唱ふるに至れるなりと、故に今地内に當時の遺名として羽澤、矢澤、矢馳、鳥ケ谷、鍛冶屋敷、鍛冶畑、鍛冶屋橋等あり、亦鍛冶屋敷附近に字坪町と唱ふる所は矢部の工人を統率したる司の居址なりしとの口碑傳はれり。 ■秋葉町　アキバチヤウ　　　世帯数　二二　　　人口　一五九 　　元、秋葉村と稱して鎌倉郡の内なり、古へは秋庭�ｸと唱へしが後ち永谷�ｸに屬すと云ふ隣村品濃、名�Pの二村は之の�ｸ中に屬して當村は其の原村なりしと、建武の頃には上杉氏の所領なりしが、至�ｺ元年に至り當村を鎌倉圓覚寺の祖塔正續院領に寄進す、�ｺ川氏に至り旗下本多圖書の先祖に賜はり子孫世々知行せり、明治維新後の變遷は岡津町と同じく中川村の大字秋葉となる昭和十四年四月一日横濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付す、村名の起りを傳へず。 ■名�P町　ナセチヤウ　　　世帯数　一〇七　　　人口　六五八 　　元、名�P村と稱して鎌倉郡の内なり、往古は秋庭�ｸに屬し後ち永谷�ｸに編屬す、文明の頃は報國寺領なり、�ｺ川氏江戸入國後村高六百四十五石を上中下に分ち上分を水野某、中分を鈴木某、下分を佐野某の各旗下に與へ子孫世々知行せり、明治維新後の變遷は岡津町の條と同じく中川村の大字名�Pとなる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名の由來を傳へず。 ■阿久和町　アクワチヤウ　　　世帯数　一八七　　　人口　一、一四四 　　元は阿久和村と稱し鎌倉郡の内なり、往古は高座郡山之内庄に屬し村岡�ｸの内阿久和と唱へしと云へり、中古よりは永谷�ｸに屬す、永祿の頃には増田某知行せしが、�ｺ川氏に至り村高一千石は天正十九年旗下安藤治右衛門の采邑に與へ子孫世々之れを襲げり、明治維新後の變遷は岡津町の條と同じく中川村の大字阿久和となる、昭和十四年四月一日横濱市に編入戸塚區に屬す、町名を立つるに當り舊字鎌取東原、運上野、宮澤臺、向原、狢窪、吉原、小金、宮之腰、細川、宮之下、西村、蟹澤、雨池、猪ノ窪、馬場畑、赤松堂、隼人、榊山、藤ノ谷、中村、土橋、善光寺谷、大久保原、三王塚、岡本を當町區域とし舊村名を採りて町名を付せり、其他の區域に新橋町を立つ、村名の起りを傳へず。 ■新橋町　シンバシチヤウ　　　世帯数　一五〇　　　人口　一、三二九 　　��濱市編入前の中川村大字下阿久和の區域なり、昭和十四年四月一日��濱市編入の際阿久和の内字鎌取、東原、大原、運上野、宮澤臺、向原、狢窪、吉原、小金、宮之腰、細川、宮之下、西村、蟹澤、雨池、猪ノ窪、馬場畑、赤松堂、隼人、榊山、藤ノ谷、中村、土橋、善光寺谷、大久保、原、三王塚、岡本の區域を除きたる地域に當町を立て小名中の新橋を採りて町名とせり。 ■�P谷町　セヤチヤウ　　　世帯数　六二三　　　人口　四、〇四六 　　元、�P谷村と稱して鎌倉郡の内なり、此の村の名古くは村内妙光寺の鐘銘に寶�ｺ年間のもの見ゆ、永祿の頃には小田原北條氏の家人松波内藏の知行所たり、相模風土記には久米玄蕃知行すと記せり、�ｺ川氏に至り村高六百二十石は天正十九年旗下島津八郎右衛門長村傳十郎、本多太郎左衞門等に頒ち與へしが、文化の頃には後藤大和守、長田傳藏、同龜吉、本多大之亟等知行す又享保十九年村内株場を開墾し之の新畠二百八石二斗四升六合は御料として代官の支配に屬せり、明治維新後は�~奈川懸の管轄に屬す、明治二十二年町村分合改稱を行へる際隣村二ツ橋村、宮澤村と共に併せて�P谷村を立て其大字�P谷となる、昭和十四年四月一日横濱市に編入戸塚區に屬す町名を付するに當り、大字�P谷の中字連雀谷戸及び二ツ橋谷戸の二手を二ツ橋町に分ち其他の全地域を當町區域とし舊村名を採りて町名に付せり村名の起りを傳へず。 ■二ツ橋町　フタツバシチヤウ　　　世帯数　六二　　　人口　四一九 　　元、二ツ橋村と稱して鎌倉郡の内なり、往古は高座郡山之内庄にて�P谷�ｸに屬する茅野なりしを、天正年間露木甚五左衛門及び二三の者此地に來り草菜を芟除して開墾せし地にて慶長の頃未だ村名もなく地内に二ケ所の小橋ありしより二ツ橋と呼び遂には村名となれりと云ふ、此時に當つて藤澤宿に附し後ち鎌倉郡に編貫すと云ふ、其後享保十年幕府の命に因りて�P谷野新田と稱するに至りしが、明治五年古への村名二ツ橋村と改稱したり、當村開發後は御料所にて世々代官の支配に屬せり、明治維新後一旦韮山縣に屬せしが、明治元年十二月�~奈川縣の管轄に轉ず、明治二十二年町村分合改稱の際、�P谷村、宮澤村と共に併せて�P谷村を立て其大字二ツ橋となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬せり、町名を付するに當り二ツ橋の全區域の外�P谷の内字連雀谷戸、二ツ橋谷戸の二字を當町區域とし舊村名を採りて町名に付せり村名の起りは前に言へる如し。 ■宮澤町　ミヤザハチヤウ　　　世帯数　五六　　　人口　四九〇 　　元、宮澤村と稱して鎌倉郡の内なり、之の村も往古は高座郡山之内庄�P谷�ｸの内にて宮澤村と唱へしを後ち鎌倉郡に編貫したりと云ふ、中世より矢部�ｸに屬す、此地も其始めは草野にて民家もなかりしを�ｺ川氏江戸入國後上矢部村を石川四郎左衛門重政に賜ひし時其石高の不足を補ふため當所を副へ與へしより、上矢部村の村民數人をこゝに移住せしめ田圃を開墾し遂に一村をなせりと、故に上矢部枝�ｸと唱へ世々石川氏の知行する所たり、明治維新後は�~奈川縣の管轄に屬す、明治二十二年町村分合改稱を行へる際の變遷は�P谷町の條に同じく其大字宮澤となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名の起りを傳へず。 ■中野町　ナカノチヤウ　　　世帯数　六六　　　人口　四一〇 　　元、中野村と稱して鎌倉郡の内なり、古へは鎌倉七�ｸの一なる小阪�ｸの中なりしが、其後東郡山之内庄本�ｸ六ケ村中の一に屬せり、文武天皇の御宇より聖武天皇の�~龜年中に至る迄大職冠藤原鎌足の後裔染屋太郎太夫時忠東八ケ國の總追捕使として鎌倉に居り東夷を鎮せり、其後平将軍貞盛の孫上總介直方此處に住し伊豫守頼義相模守に任じて下向せし時、直方の婿となり義家を設け鎌倉を譲りしより源家相傳の地となり、降て平治元年に至る迄義朝の食邑となり斯くて治承四年頼朝兵を起すに當り、安藤九郎盛長頼朝に申して居を此地に移されん事を述ぶ依て是歳十月頼朝遂に鎌倉に遷り遂に平家を亡し覇府を開きしにより此邊りも繁榮の地となりしと云へり、爾來世々覇府の所領に屬せり、建武二年足利尊氏鎌倉に據りて反し正平年中其子基氏を以て此に鎮とす、爾來管領家の所領となり、其衰ぶるに及びて山之内上杉氏に移り、後又扇ケ谷上杉氏に轉じ、其後三浦義同の所領に屬す、永正十五年北條長氏代り五世の間之を支配せしが天正十八年小田原没落の後は�ｺ川氏に移り御料として代官の支配とせしに元祿十一年九月に至り旗下小濱半左衛門、菅谷平八郎に頒ち、同十四年半左衛門の一族十郎左衛門を加へ三給となりしを、文化八年上知し其全部をして松平大和守の所領となせり、安政元年三月御料に復し細川越中守に屬して管せしめたるが、文久三年八月旗下堀田鴻之亟の采邑に轉じ、慶應三年再び御料と再三の變遷を重ねたり、明治維新後は一旦韮山懸に屬せしが、明治元年十二月�~奈川縣の管轄に轉ぜり、明治二十二年町村制施行に際し、隣村鍛冶ケ谷村、上野村、公田村、桂村、小菅ケ谷村、笠間村と共に併せて本�ｸ村を立て其大字中野となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名中野は�ｸ中の中央なるより往古は中之村と唱へしをいつの頃か今の字に書き改めしものと云へり。 ■笠間町　カサマチヤウ　　　世帯数　二二五　　　人口　一、一〇三 　　元、笠間村と稱して鎌倉郡の内なり、建武二年以前の沿革は中野村の條に同じ、建武二年三月近藤出羽次郎清秀村内の地を證菩提寺供僧料田として寄進したる事古き文書に見ゆ、小田原北條氏割據の頃は松ケ岡東慶寺領及び松田左馬助知行し又松田筑前守、松田因幡守等にも配當せしと云ふ�ｺ川氏に至り旗下森川内膳正に賜ひ子孫世々之れを襲へり明治維新後は�~奈川縣の管轄に屬し、明治二十二年の町村分合改稱を行へる際の變遷は中野町の條に同じく本�ｸ村の大字笠間となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名の由來を傳へず。 ■桂町　カツラチヤウ　　　世帯数　五〇　　　人口　三三〇 　　元、桂村と稱して鎌倉郡の内なり、天正十八年以前の沿革は中野町に同じ、�ｺ川氏江戸入國後は御料所にて代官支配せしが、享保八年十二月に至り酒井雅樂頭、星合攝津守に頒與し、寛延二年五月雅樂頭分を松平大和守に替賜ひしが文化八年六月之を上知し本村の全部を松平肥後守領とす、文政四年再び松平大和守領に復し、安政元年御料に代り、文久元年八月旗下堀田鴻之亟に賜ひ、慶應三年又々御料に屡々變遷したり、明治維新に際し一旦韮山縣の所管となりしが、同年十二月�~奈川懸の管轄に代る、明治二十二年の町村分合改稱は中野町と同じく本�ｸ村を立て其大字桂となり、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名桂を採りて町名に付せり、村名の起りを傳へず。 ■公田町　クデンチヤウ　　　世帯数　八四　　　人口　五二四 　　元、公田村と稱して鎌倉郡の内なり、小田原北條氏割據以前の沿革は中野町に同じ、小田原家人所領役帳に宇部左京亮所領と見ゆ、�ｺ川氏江戸入國後は御料所にて代官の支配地なりしが元祿十一年に至り長山彌三郎、長谷川玄通、伏屋新助、鈴木能登守等の采地に頒ち、文化八年之れを上知し全村松平肥後守領に轉じ、更に文政四年松平大和守領となり、安政元年御料所に復せり、明治維新の際一旦韮山縣に屬せしが明治元年十二月�~奈川縣の管轄となる、明治二十二年の町村分合改稱は中野町と同じく本�ｸ村の大字公田となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し當村名を採りて町名とせり、村名の由來を傳へず。 ■上�ｸ町　カミガウチヤウ　　　世帯数　九三　　　人口　六二四 　　元、上野村と稱して鎌倉郡の内なり、古へは本�ｸ六ケ村の上の方なるより遂に村名を負はせしものと云ふ、故に文政の頃迄の諸記には上之村と記せしもの多し、�ｺ川氏江戸入國後は御料所として代官支配せしが、元祿十一年八月、本多五郎左衛門、土屋市之亟、榊原主計等の旗下に頒ち賜ひ文化八年三月上知して御料に復し、更に同年六月松平肥後守領となり、文政四年五月松平大和守領に轉じ、安政元年御料、文久三年八月堀田鴻之亟知行に、慶應三年御料と屡々變遷を重ね、明治維新後は一旦韮山縣に屬せしが同年十二月�~奈川縣の管轄に入る、明治二十二年町村分合の際中野町と同じく本�ｸ村を立て其大字上野となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬す、町名を上野町とせず上�ｸとせしは上野町は既に中區にあれば舊村名の一字と前村名の一字とを結びて上�ｸとせり、蓋し當町邊は古へ本�ｸ六ケ村の原村にて本�ｸと闔稱せしと云ふ起因せり。 ■小菅ヶ谷町　コスガヤチヤウ　　　世帯数　一四三　　　人口　八七八 　　元、小菅ケ村と稱して鎌倉郡の内なり、往古の沿革詳かならず、�ｺ川氏江戸入國後は御料なりしが、元祿十一年旗下本多伊織、榊原平十郎、土屋千之助等の知行に頒ち與へしに、文化八年三月御料に復し更に同年六月松平肥後守領となり、文政四年五月松平大和守の領地に轉じ、安政元年三月御料に、文久三年八月堀田鴻之亟の知行、慶應三年御料と屡々變遷を重ね、明治維新の際一旦韮山縣に屬せしが、同年十二月�~奈川縣に編貫せられたり、明治二十二年の町村分合改稱の際は中野町の條と同じく本�ｸ村の大字小菅ケ谷となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、口碑に依れば古へ北條泰時の女を小菅谷殿と呼び之の村は其粧田などありて居住せられしより村名となりしと云ヘど詳ならず或は彼女此所に住せしより村名を冠して小菅ケ谷殿と唱稱せしものならんか。 ■鍛冶ケ谷町　カヂガヤチヤウ　　　世帯数　一一六　　　人口　三一三 　　元、鍛冶ケ谷村と稱して鎌倉郡の内なり、古へこゝも本�ｸ六ケ村の一なり、建武二年の頃は證菩提寺之阿彌陀堂供僧料地なりし事古書に見ゆ、�ｺ川氏に至りて御料所となりしが、元祿十一年旗下牧野齋宮、享保十九同高林與五右衛門の知行所となりしが、寛保三年御料に復し、寶暦六年又二氏の舊知に復せり、文化八年村内全部を松平肥後守領とし、文政四年松平大和守領に轉じ安政元年三月御料、文久三年八月堀田鴻之亟知行、慶應三年御料と屡々變遷を重ね、明治維新の際一旦韮山縣に屬せしが、同年十二月�~奈川縣の管轄に入れり、明治二十二年町村制施行の際の變革は中野町に同じく本�ｸ村の大字鍛冶ケ谷となる、昭和十四年四月一日��濱市に編入戸塚區に屬し舊村名を採りて町名に付せり、村名の起りにつき口碑に傳ふる所によれば鎌倉時代武具を作る鍛冶師居住せしより村名となりしと云ヘど其證を得ず。

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