■横浜じゃん旅行社発行/月刊情報誌「散歩の閑人」 ・・・・ 読むなら各ページをクリック。
  今、映画館では、特攻兵器・回天の映画「出口のない海」を上映している。特攻とは、大量の火薬を積み込んだ飛行機、船などに乗り込み、命をかけて敵艦船に突っ込んでいく攻撃のこと。太平洋戦争も日本の敗北が濃厚となって、兵器の生産力も技術力も行き詰まり、その兵器を操作する有能な人員も限られる中で考案された非人間的な作戦である。しかし、時代は若者をその作戦に否応なく参加せざるを得ない状況をつくりだしていた。回天は、レーダーやソナーといった探知技術を開発した米軍に対し、改造魚雷を誘導する人間を乗せることで命中精度を高めようという意図のもとに企画され、実行に移された。このころの写真週報を見てみると、戦闘機で突っ込む神風特攻隊ばかり大きく記事が取り上げられている。いろいろな特攻攻撃が編み出されている中でも、特に華々しい。潜水艦隊所属の軍人として忸怩たるモノがあったに違いない。その上、回天戦は、秘密裡に行われなければ効果が期待できないと考えられていたのか、小型艇で突っ込む震洋よりも取り上げられることがない。発射されたら戻ることも脱出することも出来ず、当たり損ねたら自爆するようになっていただけに、発射できずに戻ってきた搭乗員に対する風当たりは尋常ではなかった。
  私の持っている写真週報の中に「回天」の記事が見あたらなかったので、タイトルとそぐわないと感じた方がいるかもしれませんが、この写真週報をご覧になって、当時の若者の置かれた状況を推察していただければと願っています。また、ぜひ映画をご覧になったり、原作を読んだりしていただければ幸いです。
2006.09up
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