落語の強情灸(ごうじょうきゅう)をご存じだろうか?割合高座にかけやすい演目であることから、さまざまな落語家が演じているものの、灸が徐々に熱くなっていくのを耐えるさまは、やはり高度な演技力を要求される。
 噺の内容は、ある男が熱くて有名な「峯の灸」へ行き、順番に32箇所すえるところを、いっぺんにすえたら美女に褒められたと自慢した。それを聞いた負けん気の強い男が腕に山のように艾(もぐさ)を乗せて火を点ける。火事のようになり、ついには「冷てぇ!」といって払いのけてしまったので、まわりの人がさぞ熱かったろうと心配すると、男は「俺は熱くねぇが、釜茹での石川五右衛門はさぞ熱かったろう」というオチ。
JR根岸線「港南台駅・洋光台駅」から徒歩40分
横横バイパスが見える

 江戸時代、灸の道ができたといわれるほど有名な峯の灸は、今でも磯子区峰町の円海山清浄院護念寺の住職が代々受け継いでいる。ならば行ってみようということで出かけてみると、峯と名がつくだけにやたら山の頂近くにある。マイカーならスイスイといったところだろうが、円海山・天園ハイキングルートの入口だけにハイカースタイルが結構お似合いだ。駅からのバスは1時間に1本程度であてにならないし、例え乗ってもバス停からは登り道なので、駅から徒歩が正統派といえる。
峰の道はバイパスの下
峰公園
公園の亀石
直登ルートは、ちと難儀
迂回して行くと
ふりかえればこの高さ
入口看板
庫裏兼施療院
また看板「峯の灸」
 覚悟を決めて施療院の受付で聞いてみると「予約制」と聞き、なぜかホッと安心した。やはり江戸っ子にはなれそうもない。初回の治療は4千円。落語になるほど有名な峯の灸は、よほど熱いんでしょうね?と尋ねると、個人差があり、まったく熱さを感じない人もいるらしい。おまけに焼き付くまえに羽根で払い落とすから思うほどじゃあないという。ぜひ、気になるところを治したい方は、予約してからでかけよう。
木の立ち姿がいい
上を見ればこんな木や
あんな木がいっぱい
下をみれば若木が
木洩れ日も静寂
鐘 楼
扁 額
本 堂
鬱蒼とした竹藪の道を抜けると
霊園の石塔と石碑が
霊園の休息所のある高見から一望する(赤ワクをクリックしよう!)
 時代劇のロケにも使われたという境内は広々として、竹藪をはじめ緑の木々が深々と茂り、横浜には珍しく寺らしい寺といえる。円海山へのハイキングルートを登らず、境内の道を奥までたどると視界のひらけた霊園に至る。いまどきは寒風が吹き抜けて身を刺すようだが、眺望は非常に素晴らしい。
2007.02up