江戸時代、獅子ヶ谷村の名主を務めた横溝家の旧宅。表門、穀倉、文庫倉、主屋、蚕小屋の5棟が建っている。2階には民具や文献などが展示され、上層階級の農家・富裕農民がどのような暮らしをしていたのかがわかる。屋敷の前には用水路があり、門をくぐると広い前庭、主屋は南向きで、珍しい2階建てになっている。背後には、倉を置いて、深い山を背にしている。井戸や大きな芋倉、山からの湧水を貯める池がうがたれ、稲荷が祀られている。典型的な農家の屋敷構えだ。主屋の座敷で大の字に寝て、当主になった気分を味わってみるのも一興かと思う。ただ、周辺の農地が資材置き場などになり、田園景観とはほど遠く、風情がなくなりつつあるのが惜しまれる。