知的な会話を楽しむなら、横浜市民の「心の庭園」とも称される三溪園(300円)がおすすめ。17.5万平方mの広大な敷地に、明治時代の横浜を代表する豪商・原富太郎(号は三溪)が、多くの財を注ぎ込んで造った大庭園。重要文化財の古建築が数多点在し、優雅な気持ちでゆっくり見てまわると1日かかる。弁当をひろげたり、茶店で一服したり、老若男女が思い思いに心を和ませている。内苑(300円)まで散策して自分の知性をさらにアピール。合掌造の旧矢篦原家住宅(100円)に入れば漆黒の闇の中にゆらぐ囲炉裏の炎を見つめながらじっくり話ができる。四季折々に色づく花や木々を意識した庭園は、まるで京都の古寺・庭園を歩いているような錯覚を感じさせる。
撮影ポイント 語らいポイント
遠く三重塔、大池に浮かぶ櫓舟。桜や藤、花菖蒲の咲く頃がいい。大池には、鴨、亀、鯉など、売店の麩を投げるとけたたましい。


関東地方では最古の三重塔。三溪園のシンボルとなっている。
展望台、三重塔への道にある笹のトンネル。異空間へ続くような感覚。 原三溪のかつての邸宅・鶴翔閣。貸出施設なので外観しか見られない。
展望台からは、靄った工場群が見えるだけ。豪商は夢にも思うまい。 無造作に置かれた観音の表情も優しい。
園内には茶店が5軒ある。いずれも原家ゆかりの人が商っているという。 市民プール側には中国式庭園がある。
内  苑
かなり入念に手入れされている内苑。和風な感性が覚醒させられる。この中も案外と広い。国宝級の楼閣、建物があり、灯籠・や屋内の造作など見て回ると思わぬ時間が過ぎてしまう。梅の咲く時期はもちろん、紅葉の秋にはカメラをぜひ持参したい。
旧矢篦原家住宅
合掌造の旧矢篦原家住宅は、岐阜県白川郷から移築したもの。中に入ると、囲炉裏の炎や、小窓から差し込む光がほのかにゆらいでいる。部屋の薄暗がりの中から見える庭の風情や、雛飾りの鮮やかさがまぶしい。靴を脱ぐので冬は寒い、ちょっと用心して家に上がろう。
梅の頃
出張らしきサラリーマンが弁当を広げる。絵道具を広げるおじさんがあちらに一人、こちらに一人、縄張りを主張するかのように座っている。とにかく、あらゆる人々が憩いに来る。猫だってくつろぎに来る庭園なのだ!