日本のどこか遠くへ行きたい。国内旅紀行
No.122
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 「曲亭馬琴」こと瀧澤興邦(1767〜1848)は、江戸後期の戯作者。代表作・伝奇物語「南総里見八犬伝」98巻106冊は、馬琴48歳のときから28年かかって書かれた。晩年は失明しながらも、嫁の路に口述筆記させて完結。千葉県南部・安房から、室町時代中ごろの関東一円を舞台に描かれる壮大なドラマ。架空の話にもかかわらず史跡として残っているから、物好きにはうれしい話だ。
JR内房線・岩井駅
駅前公園にある伏姫と八房の像
伏姫籠穴への入り口
 話が長いので詳しいことは専門サイト「白龍亭」をご覧いただきたい。端緒は室町時代の永享の乱。京の将軍と東国の武士を束ねる関東公方が争い、逃れた里見義実は安房で里見家を再興させるが、その際に処刑した玉梓の呪いにかかって、義実の娘・伏姫が飼い犬の八房と夫婦になり富山の洞窟で暮らす。姫の婚約者・金碗大輔が救出に向かい、八房を鉄砲で仕留めるが、伏姫も被弾。すでに仙童から八房の子を懐妊していると告げられていた伏姫は畜生の子を宿したことを恥じて自害する。そして、八個の珠が八犬士のもとへ飛び散っていく‥‥。
 今年1月2・3日にTBS開局50周年として放映したから、角川映画以来の盛り上がりを見せたのかどうかわからないが、出かけたのが年末のせいか人影は疎らだった。JR内房線の岩井駅に案内所があるけど、非常にそっけない。富山町の文化財マップと観光案内パンフを手がかりに出発。駅前にある伏姫と八房の像を見たら、富山中学校を目指す。すぐ目の前に富山がそびえ立っている。正門を右に道をとり、こっちでいいのかなあ?と不安に思いながら、案内板もない車一台が通れるほどの簡易舗装路を山に向かってあがって行く。やがて広い駐車スペースの広がる伏姫籠穴の入り口にたどり着く。公衆トイレも完備しているのでハイキング向きといえる。
 
伏姫のハメ顔看板
犬  塚
下から見る
上から見る
休憩スペース
伏姫籠穴
珠のある柱
籠穴の内部
近くの岩穴と五輪塔
水仙畑
葉蘭の茂み
渓  流
富山登山道
 南房総は温暖な地域で、冬は暖かく、滅多に霜や雪は降らない。富山町も1月水仙街道に花が咲き乱れ、2月紅梅街道に梅の香りが漂う。6月にはビワ狩りも楽しめる。富津館山道路も伸びてマイカーによるアクセスもいい。平成18年3月には、鋸南町と天津小湊町を除いた安房郡7町村(富浦町、富山町、三芳村、白浜町、千倉町、丸山町、和田町)が合併して南房総市が誕生する。
フェリー船上の甲冑武者
伏姫籠穴のトイレプレート
合併カウントダウン
道の駅・富楽里とみやま
 富津館山道路を行くと道の駅・富楽里に必ず立ち寄る。たまたま昼食時にここを通る場合が多いからかもしれないが、ここのレストラン「網納屋」で網納屋丼か天丼を食べる。当然、地元で採れた野菜や魚、花を見てまわるのも楽しい。
外  観
富山を眺める
網納屋店内
網納屋丼
天  丼
お土産
 昔からのものといえば、伝統的な沿岸捕鯨によるツチクジラ製品を一押しにしたい。有名なのは、くじらのたれのハクダイ食品。最近では、いろいろなものが開発されてきている。ここ富山や隣町・富浦ではビワ製品が名産。八犬伝にあやっかたものもある。魚売場で見つけたパッケージに「セグロイワシ」と書いてあったが、我が家では「シコイワシ」といっていた。図鑑では、カタクチイワシ(セグロイワシ、ヒコイワシ)と書かれている。今、食べようと思っても結構手間がかかって、それほど美味いと感じなくなってしまった。ゼイタクは敵である。
くじらのたれ
くじらカレー
鯨チャーシュー
八犬伝ドレッシング
八犬伝万能味噌
セグロイワシ
金目鯛
ブダイ