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【一日目】 とにかく「くいだおれ」ということで、呑み倒れたいという御仁ともども格安ツアーに参加した。募集広告では羽田空港7:45〜となっていた。まさかとは思ったが、案の定、フライトが7:45で、集合は6:55だった。
JAL団体カウンター前が集合場所。かなりの数で似たようなツアーのペーパーサインや阪急の旗が出ている。やっと見つけて、人数のチケットを受け取る。すると「配ったバッジを見えるところに付け、大きい荷物はカウンターに預けて、すぐ手荷物チェックを受けてから搭乗ゲートへ行ってください。搭乗案内があったら乗り込んでください。添乗員は現地で待っていますので、荷物を受け取ったら同じサインを目印に集合してください」と矢継ぎ早に案内された。飛行機が初めての人ならきっと何のことか判らないだろう。
小松空港へ降りてビックリ。ロビーにウロウロしている人波がみんな色違いの同じバッジを付けているのだ。計バス4台。ほとんどの搭乗客が格安ツアー参加者だった訳だ。
さて、まず目指したのは、歌舞伎十八番・勧進帳で有名な安宅の関。バスを降りれば、すぐに写真撮影。神社に行くと「どんな難関も突破できる安宅の関の合格お守りはいかが?無料で拝殿の宝物をご覧いただけます。解説もします」とかわいらしい巫女さんがおいでおいでをする。で、昇殿したのは私一人。なんともはや‥‥。
北陸道をひた走り、メイン観光コース・兼六園へとやってきた。駐車場は兼見御亭。お土産コーナーの従業員総出で味見をさせてくれる。これもくいだおれの内。さて、北陸地方は一週間前に大雪だったものの、暖冬で雪吊りも心なしか淋しい。すると急に暗雲かき曇り、ひろげたパンフレットにあれよあれよと発泡スチロールのような雪玉が降り積もった。自由散策は1時間。ついでに石川門へ出て写真をパチリ。
次に寄ったところはお決まりの金箔工芸店。金箔をとる実演をしながら、当然金箔カステラの試食。みんな考え込んでいたが、私が「やっぱり金箔屋にきたら、あぶらとり紙を買わなくちゃ。吸付きが違うもの」といって、何冊か購入すると、次から次へ買う人が現われた。すかさず店の人も「本日限定の割引あぶらとり紙限定百冊です」などと売り始めたのにはマイッタ。そしたら、店の人が気持ちですがといって、見本のあぶらとり紙を五十枚入れてくれた。
今度は、長町の武家屋敷。道路標識が気になるものの、金沢市が江戸時代の雰囲気や文化を再び蘇らせようとしている努力を感じさせていい。でも、まだ武家の子孫が多く住んでいるのだそうで、ぞろぞろと観光客がやってくるのには閉口しているに違いない。
場所が移って、大きなドライブインに到着。朝が早かったから、やたらと1日が長い。やっと昼食「甘エビの食べ放題60分」に挑戦となった。1皿4人盛りで、雑然と盛ってある。1人あて15〜20匹。通常では、殻剥きが面倒なせいか1回おかわりする程度だそうだが、我々4人グループは4皿食べた。
一気に雪の五箇山へ。と思いきや、県境を越えずに相倉の合掌集落にきた。途中ビールを飲み過ぎた仲間の1人がトイレ休憩を合図したものの、目立ち放題にしていたためか無視されて、危うく膀胱破裂寸前だった。集落では1時間の自由散策なのだが休憩場所がない。雪の合掌集落は10分もあれば往復できてしまうのだ。
あとは宿へ直行と思ったのが甘かった。格安ツアーだから、その前に富山名物・薬屋池田安兵衛商店へ立寄った。越中反魂丹の講釈を聞き、丸薬づくりの実演、試供品の配布のあと、休憩30分。ケロリンとかゲリナオール、ヨクデールとかよくまあと思うようなネーミングの薬に感心しながら、つい何包か買ってしまった。
途中、やはり富山名産・鱒押寿司の有償販売の予約注文取りがあって、やっと1泊目の宿・富山アパホテルに到着した。名物女社長で有名なアパホテルに初めて来たけれど、ワシントンや東急インとは違ったコンセプトのビジネスホテルで、なかなかの好感度だった。バイキングの夕食は、くいだおれツアーの目玉・カニ3種(タラバ・ズワイ・毛ガニ)はもちろん、焼き鳥やローストビーフなど信じられない豊富な種類で圧倒されるような気分だった。その分、ビールも結構頼んじゃったりして。そして、ホテルとは別棟に健康ランドのような温泉があって、足を伸ばしてゆったり入れたのもよかった。
【二日目】 この日は、ツアー客が東尋坊・永平寺オプショナルツアー(3800円、昼食付+1000円)組と金沢市内自由散策組に分かれる。ほとんどオプショナル参加だったが、私たち4人グループは自由散策にした。一緒にホテルを出発して、金沢駅前で降車、荷物をロッカーに預けて、市内へ繰り出した。
まず、珠姫のお寺・天授院へ。からくり人形芝居を見て、お庭の見える座敷でお茶を一服。テクテクぶらついて、近江町市場を冷やかし、回転寿司の昼食。パン屋さんで万福パンを買い、忍者寺・妙立寺へ。昔は、自由に見学させていたそうだが、壊したり、入ってはいけないところに入り込む人が絶えないので、引率の定時見学になっていた。説明にはそのつど感心したが、やはり実演でからくりして見せて欲しかった。ガイドが近所の大学の女子学生では、それも無理なことかもしれないが。
北陸鉄道を見たいという鉄道マニア派と、寺町を歩きたいという歴史好き派に分かれて散策を開始した。私は寺町歩き。加賀藩は絶えず徳川幕府の動向に気を配った。城下の防衛ラインとして犀川沿いに連なる丘陵地に寺を置いたのが寺町だ。高い塀と微妙に屈折する寺の凹凸が戦略的な配置を感じさせる。雪国だからかもしれないが、急勾配の黒瓦の屋根が盾のようにも感じられた。
井上靖の小説にも書かれたW坂を下り、桜橋を渡る。背後から迫ってきたレトロなバスに手をあげる。小型のバスで、城下町特有の狭い路地を走り抜けてゆく。少しのまどろみで金沢駅に到着した。駅の店でコーヒーを飲みながらオプショナルツアーを終えたバスを待つ。
我々を乗せたバスは、また北陸道をひた走った。途中、日本海に沈む夕陽が美しかった。冬の北陸で夕陽が見えるのはラッキーだとガイドさんがいった。募集案内では、片山津温泉ホテルよしのだったが、他コースも含め多人数なのでいくつかの宿に分散され、粟津温泉ホテル雲井となった。途中、道を間違えるアクシデントもあり、ガイドさん曰く「片山津・粟津・山代・山中からなる加賀温泉郷は全国に知られる温泉場ですが、地元や関西方面では、○○でも知られ、毎年1か所の温泉場に限って一斉手入れが‥‥」だとか。とりあえず、暗くて寂しい温泉場に到着。1人+1500円の部屋食「能登牛しゃぶしゃぶと越前海岸お造り舟盛り御膳」の小宴会で1日を締めくくり、ローマ風呂風の大浴場で汗を流した。
【三日目】 作法を心得ない私は、集合時間までは自由時間だろうと合点し、とんでもなく質素な朝食を終えて温泉場散策を楽しんだ。宿へ戻ってみると集合5分前だというのに、玄関前のバスにはツアー客全員が乗っていて、私を探していたという。平謝りしたものの、聞けば格安ツアーのお客さんはツアー慣れしていて、とにかく行動が早く、集合15分前には全員そろってバスに乗り込んでいたという。
一路、能登へ向かう。添乗員さん曰く「昨晩の宿は当初予定のホテルよしのさんよりも、部屋、食事、大浴場ともランクが上だった」とアナウンスがあった。外交辞令なのかもしれないが、それを割り引くと、ホテルよしのってトンデモナイところなのかもしれない。
まず最初は、能登の輪島塗工房の見学。さすが、ツアーの常連さんは、積極的に試食はするけれど1軒目から土産は買わない。場所を移して、本日のメイン観光コース・輪島の朝市自由散策。ところが、粗品引換券を渡されて大きな土産物店へと案内される。そこでは、給茶器でお茶が振る舞われ、くいだおれツアーだからといっては試食を勧められた。引換券でもらった粗品は輪島塗(メラミン)のお箸1膳。まわりを見ると、ツアー客たちは朝市も含めてここぞとばかりに買っている。仲良しになったお母さんグループに訳を聞くと「ここから先は空港まで土産物らしい土産はないから、買っといたほうがいいわよ」とアドバイスしてくれた。さすが慣れている。途中、揚げたてコロッケを買い、朝市を冷やかして歩いていると背後からバサバサッという羽音と共に手に持ったコロッケを奪い去っていく物体があった。ウワッと飛び退くと、犯人は何とトンビだった。よく見ると、観光客の手に持っているものを狙って頭上間近にいくつものトンビが舞っているのだ。
能登金剛・関野鼻で、魚の団子汁と能登海鮮焼の昼食。名前は仰々しいが、中身は写真のとおり。
千里浜渚ドライブウェイをバスで進む。いつもレンタカーで波打ち際を走るたびに面白いと思うのだけれど、大型バスで波打ち際スレスレを走るのだから、今回ばっかりはマイッタ。普段なら観光バスはもっと陸地の方を走るのに、我々の乗ったバスだけが波打ち際を行く。ガイドさん曰く「バスの清掃を思うと波打ち際は走りたくないけど、このバスは償却期間が過ぎているし、今回のツアーだけはお客さんに楽しく仕事をさせてもらった。そのお礼として波打ち際を走るサービスで気持ちを表したい」という。我々の弥次喜多道中もガイドさんには楽しく映ったらしい。
さて、あと1か所。七福神という幸せの宝石・トルマリンを売る店に寄る。いろいろ講釈をしながら「そうだと思う人」という問いかけに「は〜い」といって手を挙げる。アウンの呼吸のツアー客も、「では、買ってみたいと思う人」の問いかけには返事もしなければ手も挙げない。格安ツアー常連客はすごいパワーだ。
羽田空港で座席を後にするとき、みんなの口からそれぞれ「また格安ツアーで会いましょう」と声がかかった。 |
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フライトを待つ飛行機 |
バス車中で細かい説明 |
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お決まり集合写真 |
弁慶と義経 |
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安宅神社の巫女さん |
金沢城石川門 |
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兼六園雪吊り |
パンフに積もる雪 |
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あぶらとり紙に殺到 |
箔とり作業 |
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押すな押すな |
長町武家屋敷 |
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席を詰めて座ろう |
甘エビ食べ放題 |
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相川合掌集落 |
路頭に迷う旅人 |
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池田安兵衛商店 |
講釈 |
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丸薬づくり |
カラフルな薬 |
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アパホテル客室 |
眺望 |
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夕食バイキング |
カニ三昧 |
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天授院 |
おうす |
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尾山神社 |
産制具屋さんて何? |
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近江町市場 |
並んだ越前ガニ |
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満員の回転寿司 |
万福パン |
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寺町 |
からくり階段 |
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犀川 |
W坂 |
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レトロバス |
日本海の夕陽 |
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雲井の眺望 |
夕食 |
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朝食 |
温泉街スーパー |
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輪島塗工房 |
輪島の海 |
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朝市のおばちゃん |
結構呼込みがスルドイ |
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頭上を行くトンビ |
輪島の町並み |
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関野鼻 |
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昼食 |
能登金剛 |
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千里浜渚ドライブウェイ |
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七福神 |
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