みなとみらい線の開通でより身近になった。桜木町駅からは遠いのだ。そのためか、以前よりグッとお客さんが増えている。それも普段着のカジュアルな装いが目立つのは、より身近に利用しやすくなった証拠だ。実際利用してみると、国際ホテルとしての格式やルール、ホスピタリティがビジネスホテルにいるような錯覚に陥ってしまうほどなのだ。いわゆる「高級ホテル」利用初心者のカップルには願ってもないリーズナブルさを持っているホテルに変身していた。しかし、アジアンテイストのリニューアルは独自性があってイイし、部屋の使い勝手だって悪くないと思う反面、私としては、伝統を冠する国際ホテルは、よりよいホスピタリティを求めるための変更でなければならないと痛感させられる1泊になった。以前の評価はコチラ
○みなとみらい鉄「みなとみらい駅」から徒歩2分
○JR・横浜市営地下鉄「桜木町駅」から徒歩10分
※横浜駅東口からシーバスでみなとみらいさん橋
〒220-8522 横浜市西区みなとみらい一丁目1-1 TEL 045(223)2222

ロビー階玄関
フロント
案内表示
客  室
洗面台
アイスペール
冷蔵庫
アロマテラピー
フットバス
眺望(夜)
眺望(夜)
眺望(夜)
眺望(朝)
眺望(朝)
眺望(朝)

食  事
夕食はフレンチレストラン「アジュール」。朝食は「なだ万雅殿」で和食にした。
夕  食
アジュール入口
待機場所
店  内
テーブル
セッティング
@
パン&オリーブ油
A
B
C
D
E
F
@本日のアミューズ

A三種の赤座海老料理
ズッキーニソース、マグロのカルパッチョとルーコラ、パルメザンチーズ添え

Bそば粉のラヴィオリ 蝦蛄のラグー

C寒ブリのバリエーション料理
フェンネル風味のタルタル、ロースト、のりとベーコン巻き

D牛サーロインのグリルとポテトスフレ
パラッツォサッソ風フォカッチャ添え
E鹿肉のロースト 赤ワイン風味
カボチャ、しめじ茸、白人参添え
(DorEのチョイス)

Fティラミスのスフレとマスカルポーネチーズのシャーベット
天使の髪に見立てたチョコレート添え

コーヒー

【10500円ディナーコース】
コーヒー
朝  食
なだ万入口
店  内
朝  食
 しばらく来ない間にここまで変わろうとは思ってもいなかった。その変貌とはサービスの低下、ホスピタリティの欠如をいう。スーツ姿にデイバッグとはいえ、まず荷物を受け取ろうとするベルボーイがいない。チェックインを済ますと「荷物は運ばなくてもよろしいですか?部屋の案内をしなくてもいいですか?」と聞いてくる。何でも肯定的に「はい」と答える日本人への応対マニュアルは完璧だ。それに、旅行社を通じて禁煙ルームの確約をとったうえに、チェックイン時に禁煙ルームでお願いしますと告げたにもかかわらず「本日は高層階の禁煙ルームが空いており、グレードアップさせていただきました」と応答しておきながら、指定された高層階の客室に入ってみると、灰皿があってタバコ臭が鼻を突くのだった。そのことを電話で告げると「その部屋は今日は禁煙の日になっている」というのである。禁煙ルーム=今日だけタバコを吸ってはいけない部屋と単純な方程式で片づけている。本来は、禁煙ルーム=タバコの臭いが嫌いな人の部屋のはずなのに。なんとか客室交換したものの、やはり臭うので空気清浄機があるかと問うと「ない」と断わられた。そこで噴霧式脱臭剤を再三求めると忘れた頃に持ってくるという始末である。いずれの応答も「禁煙フロアは満室なので申し訳ありません」と口を揃えて言うのみ。その間、荷解きもせずに部屋の中で待機しなければない苦痛と、鼻とノドに痛みを感じながら一夜を過さなければならない悲惨さを嫌煙家の方なら判ってくれるに違いない。そして夕食。せっかくだからフランス料理にしようと予めインターネットで「誕生日記念の予約」をアジュールに入れた。行ってみてビックリ、イタリアンフェアと銘打った2つのディナーコースしかないという。フランス料理店でイタリア料理しかないなんて詐欺である。せっかくだからと席に着く。全体にウェイターの動きに威厳やスマートさがない。あのアジュールの居心地の良さはどこへ消えてしまったんだろう。専門学校出たてのようにサービスがぎこちないか、町のレストランのようにホイホイ遠慮会釈なく料理を上げ下げする。飲み物の注文だってドリンクメニューも持たずに聞いてくるのだ。以前なら、メニューがなくても「今日の前菜には○○が合いますよ」とアドバイスしてくれたのに。持ってきた料理の説明をする人は1人だけいて、偶然にある一皿を持ってきたことがあったが説明するときに客の目を見ず壁を見ていた。これだけではなくテーブルサービスはテーブルごとに常時決まっているはずのものが、手の空いているスタッフが対応するようになっている。どのスタッフも出す料理には蓋をせずに胸やノドの辺りに捧げ、しっかり鼻息をかけて持ってくる。イタリアンはその程度らしい。隣の席が空くと予約がないにもかかわらず掃除を始めた。クロスの交換はホテルのそれではなく、上のものを一端寄せて、クロスを引き、パタパタとパンくずを床に落すのだった。そして、小学校低学年ほどの女の子が嬌声をあげてフロアの一部を走り回っている。これまで小学生以下はお断りだったはずだ。そういえば、以前は政財界の人らしき人物が利用している風があったが今回は微塵もない。誕生日記念のサービスはポラロイド写真1枚のみ。「写真を撮ります」といったきり「おめでとう」のひとこともなく、パリッとカメラから抜いてテーブルの隅にポンと置いていった。台紙もない。ありがちなデザート皿への「Happy Birthday」の文字入れとかロウソクさえもない。そして客室へ帰ってまたガックリ。テーブルの上のいくつかのメッセージカードに「アジュールからの招待状・8400円のコースが6300円」の文字。フロントもアジュールも宿泊して夕食するのを知っていながら何のフォローもなかった。翌日、荷物を持ったままのチェックアウト。カウンターの外へ出て荷物を持ったり、見送ったりするスタッフもいない。いつの間にかビジネスホテルに変身していたと思えば合点がいく。
 ここの総支配人は世を騒がせているプリンスホテル出身の人だったなあと気づかされた誕生記念宿泊&食事の一夜だった。NHKの会長だって辞めねばならない世の中なのに、君臨するオーナー次第で消滅する会社もある。そのことに気づいた有能なスタッフの話に耳も傾けず、鶴の一声で経営する会社に将来はない。そしてホスピタリティの最前線で戦う有能なスタッフは誰もいなくなった。もう二度と御免。Bye-bye!