<飛  鳥>
あすか
郵船クルーズ
約28,800総t/全長192.8m/全幅24.7m
乗客数580人/乗組員数240人
ダグラスワード★★★★+
「飛鳥って、さんふらわあに比べるとどこが違うの?」と発言したため、あるクルーズ通の人が絶句してしまった。
クルーズ客船は他のクルーズ客船と比較するべきものであって、
フェリーや定期運行船舶も同類と考えてはいけないらしい。
つまり、クルーズ客船は、目的地を目指して航行する他の船と違い、
洋上に浮かぶホテルとしてクルーズそのものを楽しむために造られていることがコンセプトなのだという。
だから、あえて日本の中でトップクラスの客船といわれる「飛鳥」からご紹介することにしよう。

★ ワンナイトクルーズ
 飛鳥は日本船籍で母港は東京港だ。でも、そのクルーズの発着はほとんどが横浜になっている。東京・晴海客船ターミナルには商船三井の「ふじ丸」「にっぽん丸」が出入しているためと、東京より横浜の方が補給時間に余裕がもてるためということを聞いた。しかし、マーケットの大きい東京に比べて横浜は各段に集客が難しいそうだ。かろうじて命脈を保っているのは、日本郵船の資本力・ブランドと日本国内最大・最上級の客船といわれる「飛鳥」のネームバリューに尽きる。さて、飛鳥を楽しむ費用の目安として、1泊平均6〜7万円が相場。この価格は、1991年の就航以来ほとんど変わっていないと思う。全室海側、バスタブ付は日本船籍のほかの船にはない特徴。最上階の展望大浴場、ブロードウェーを思わせる質の高いショー、そして、客船レストラン=郵船シェフといわれるほどの伝統の味と質を誇る食事は優れものだ。とにかく体験するなら、ワンナイトクルーズをお薦めしたい.。なぜなら特別な企画クルーズを除けば、ドレスコード(夕食から就寝までの船内で着用する服装を、あらかじめ客船に乗る前に指定される)が「カジュアル」になっていて、スーツやドレスなどの余計な心配がないからだ。また、洋上を航行して出港地に戻るだけのクルーズであれば、たとえ荒天になっても波浪の高い地域を避けて船酔いなどの心配もいらない。でも、せっかく乗船するなら、誕生日を選ぼう。予約時にその旨を伝えておけば、夕食時にアニバーサリーケーキと陽気なクルーたちから祝福してもらえる。とりあえずワンナイトクルーズを終えて、次のクルーズは何にしようか考えなかったなら、あなたは、よほど船旅に向いていない人か、船旅の楽しみを見つけられない人だといえる。
 最後に、客室選びのコツ。お金のある人は自由に選んでもらえばいい。そうでない人は、ステートルームFがお手頃。船酔いが心配な人は、船首寄りや上階は避けたい。Fでも、5デッキのレセプション寄りは人の通行が多くせわしない。7デッキはプロムナードデッキにあり、外から客室が見えてしまうのでカーテンを締めきることになるので要注意。飛鳥は片側全て、つまり客室の半分が禁煙ルームになっているので、予約時にはっきり喫煙・禁煙の別を伝えないとえらいめにあう。

出航前

出港

案内ボード

ファンネル

ストレッチ

ラウンジ

ワインセラー

ディナー

夜食

カジノ

洋上をゆく

帰港
★ 横浜花火大会・三陸クルーズ
 飛鳥就航以来といってもよいほど、ロングランクルーズ。「三陸」と名打っているけれど、行く先は大船渡。大船渡といえば、さんまを始めとする三陸沖の漁業の中心を担っているものの、さしたる観光地は思い浮かばない。それというのも、東北新幹線が延伸したにもかかわらず、あいかわらず三陸の各都市への訪問は1日がかりとなるためだ。3万トン、全長200mの飛鳥を係船できる岸壁を探していたところ、大船渡港が候補に上がり、打診をしたら大船渡市が快諾したがこのクルーズの始まりだという。以来、町を上げての歓迎体制に、乗船客の減少を目の当たりにしながらも大船渡をはずすことができないでいる。それとは逆に、ドル箱の「7月20日横浜国際花火大会」を鑑賞してからの出港というコースに変えたのには理解を超える。コース変更当初は大さん橋着岸のままでかなり迫力のある特等席状態だったのだが、花火の暴発事故のために、今は新港ふ頭からの眺めとなり、1等席後寄り程度の位置での鑑賞となってしまった。乗船後、早めの夕食を済ませ、ツマミ付のビール飲み放題となるが、デッキ際に立つ人が多く、イスに座ったまま花火見物できないのはつらい。とにかく、3泊程度のクルーズでは「自分さえよければ」的な自己虫なヤツの割合が多いので要注意だ。一夜明けて、1日中洋上を進んでいく。午前は避難訓練、午後はイベント参加。自己虫はイベントに群がるので、開催場所と違うところにいると優雅に過ごせる。3日目朝、大船渡入港。とにかく大歓迎状態だからセレモニーは1時間かかる。オプショナルツアーは、碁石海岸、遠野、平泉のいずれか。お金のある人はタクシーで観光。レンタカーは営業所まで行かねばならない。遠野までレンタカーで向かった。走りやすい道だが、かなり距離があって閉口した。出港が午後5時だと、乗船は4時、その30分前には余裕をもって戻る必要があるので、実質の観光タイムは5時間半。のんびり食事をとり、土産などを買っていると目的地の多くは廻りきれない。乗船終了ぎりぎりに戻ってくるオプショナルツアーを利用した方が賢明なのかもしれない。岸壁には、さんまやいかの試食販売、地酒、その他名産品の販売テントが出ていた。結局、土産はそこで事足りた。一夜明け朝、茨城・千葉沖。太平洋からの日の出を見て、朝食。下船の支度を終え、横浜入港までラウンジでコーヒーを飲みながら会話を楽しむ。再び、現実へと戻る前の至福のとき。「長い時間を費やす」ことがクルーズの魅力だ。

花火前の夕食・うな重

打上げを待つ横浜港

横浜港を深夜出航

mm地区は人の波

打上げ始まる

夜食

ラスト連発

朝食

洋上をゆく

おしらさま

造り酒屋

遠野の語り部

大船渡乗船

大船渡出航

前菜

スープ

魚料理

グラニテ

肉料理

サラダ

デザート

千葉沖をすすむ