拡大写真 no.103 光太夫、「門司」へ渡る
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 下関から門司へは、徒歩、電車、バス、車、船のいずれの方法でも行ける。中でも、レトロで街づくりをしている門司港へは、唐戸から連絡船で行くのが早いし、便利だ。
 おしゃれなマリンゲートから岸壁沿いのウォーターフロントプロムナードを歩いて行くと、船だまりを中心としたレトロ地区に至る。

●イタリアの有名建築家が設計した門司港ホテル
 デザインも色彩もすごくいい。玄関を入ると階段があり、正面がレストラン、左手がロビーにフロント。部屋もまたよし。
●1時間に一度だけ開くブルーウィング門司という跳ね橋
 開いて閉じるまで20分。ただただボ〜っとする。
●橋を渡ると観光物産館となっている港ハウス
 このときは素通りしてしまったのでコメントなし。その隣の門司港地ビール工房に夜出かけたが、常連の溜まり場状態で、観光客としては入るのをためらった。
●明治45年に建てられたレンガ造りの旧門司税関
 ここも当然、素通り。夜、門司港ホテル側のウッドデッキから眺めると高層マンションを背にして、海に浮かぶように見える。
●帝政ロシアの東清鉄道オフィスを模した国際友好記念図書館
 中華料理の店が併設されている。夜、出かけてみると、月曜日だったせいかお客さんは1組だけだった。横浜の中華街で食べているだけに、地方で中華料理を食べるとガッカリすることが多いのでやはりパスした。
●31階に展望室のある黒川紀章設計の高層マンション
 夜景を見に行く。この辺りでは31階でも高層なのだ。とても細いビルで、地震でもあったらポキリと折れそうだ。やはり、月曜日でおまけに雨だから、お客は私一人。ほかには、案内嬢と観光協会に役所から出向中のようなおじさん、それから黙々とガラスを磨くおばさん。夜景は門司港駅側のみきれいで、ほかはほとんど真っ暗。かろうじて関門海峡大橋が暗闇に浮かんで見える。ところで、カクテルを飲みながら夜景を見よう!というキャッチフレーズに惹かれたのだが、「本日のドリンク営業終了」のため寂しく退散。
 そこを出て、ウッドデッキの親水広場を海を眺めながら行くと、
●門司港ホテルの色調に合わせて建つ海峡プラザ
 食事でもしようと店内をのぞいたら、一人もお客さんがおらず、店員はテーブルに座って歓談の真っ最中だった。顔があったら、いやそうな雰囲気だったので利用しなかった。
●三井のゲストハウスとなっていた旧門司三井倶楽部
 外から建物を眺めただけなのだが、スイスの別荘といった感じ。アインシュタイン夫妻が来日した際、宿泊したそうだ。
●大正6年に建てられた旧大阪商船門司支店
 横浜でいえば開港記念会館に似ている。
●まだまだ現役でがんばっている日本郵船門司支店
 横浜の海岸通にある日本郵船ビルはかなり重厚な建物なのだが、支店だけあって実にシンプルな外観だ。
●そして上がりが大正3年に旧門司駅として開業した門司港駅
 噴水のある駅前広場を持ち、シンメトリックなネオ・ルネッサンス様式の木造建築。待合所や便所など当時のままに姿を留めている。九州の鉄道起点を表すゼロマイル標や和布刈神事のブロンズ像などがある。ここには観光案内所があり、親切に教えてくれる。バナナの叩き売り発祥の地ということで、昼間バナナの販売をやっていたが安くないので買う人は少なかった。ちなみに、門司港駅のある辺りは「西海岸一丁目」という。もうちょっと町名に熟慮が欲しい。

 レトロタウン門司港。昼間、建物へ立ち寄らなければ、ほぼゆっくり散策しても2時間はかからない。やはり、散策はライトアップして地区全体が幻想的に彩られる夜がおすすめだ。夜といえば、栄町銀天街が賑やかだというので出かけてみると、午後7時を回ったせいかほとんどのシャッターが閉まって静まり返っていた。1つ裏へ行くと、特飲街ではないかと思わせるようなネオンの通りがあった。女の人や客引きが立っているものの声はかけて来ない。知る人ぞ知るようなところなのではないかと深読みし、値段も張り出してあって健全そうな炉端焼きの店で一杯やった。安くて美味かった。